会社設立 印鑑 何本が必要?法人が最初にそろえる本数の決め方|1本・3本・4本の分かれ目

この記事で扱う印鑑
- 代表者印
- 銀行印
- 角印
- ゴム印
- 印鑑ケース
いま、こんな数え方で迷っている人へ
- 会社設立の準備中に「印鑑は3本セットが当たり前」と聞いたが、本当にそうなのか確かめたい人
- 法人の印鑑を何本そろえるか、先に決めておきたい人(実印だけか、3本か、4本以上か)
- 「何本」の答えを読むたびに数字が違って見えて、どこが法律でどこが慣習なのかを切り分けたい人
このページは「何本」の考え方の全体図です。会社の形ごとの細かい場面は子記事に分けています。
会社設立の相談で、いちばん多い質問のひとつが「印鑑は何本つくればいいのですか」です。ところが検索して読み比べると、3本、4本、5本と、数字が記事ごとに違って見えます。食い違いの正体は、法律が求めている本数と、仕事を回すためにそろえる本数を、同じ「必要」という言葉で書いているところにあります。
言葉もそろえておきます。はんこの道具そのものが印章、紙に残った跡が印影、役所や金融機関に届けて登録した印影を印鑑と呼ぶのが本来の使い方です。法人では、法務局に提出した代表者印が会社実印で、提出した印鑑は届出印とも呼ばれます。銀行印は金融機関への届出、角印やゴム印は社内外の書類用で、いずれも法務局への届出の対象ではありません。このページでは、日常の呼び方に合わせて印章も印影も「印鑑」と書く場面があります。
「会社設立 印鑑 何本」の答えは、法律が決める1本と仕事で決まる数本に分かれる

まず結論を図にします。法人が印鑑を持つ理由を分けていくと、数を決める力が働く場所が二つに分かれます。ひとつは法務局への届出で、もうひとつは会社の日々の業務です。

届出の対象になるのは、商業登記規則にもとづいて登記所に提出する印鑑です。提出する印鑑の大きさにも条文があり、商業登記規則9条3項は「辺の長さが一センチメートルの正方形に収まるもの又は辺の長さが三センチメートルの正方形に収まらないものであつてはならない」と定めています。つまり、大きさの決まりがあるのは提出する1本の話です。銀行印や角印に同じ決まりはかかりません。
ここに、取引先や銀行が「この書類には社判を」と言う場面が加わります。それが3本、4本という数字を生み出しています。以降のセクションでは、1本の根拠を押さえたあと、3本に増える理由、4本目以降、減らせる場合を順に確かめます。会社の形で変わる細かな場面は、一人会社・従業員あり・電子契約中心で変わる本数の決め方に回しました。
※1出典:商業登記規則|e-Gov 法令検索(e-Gov(デジタル庁)・確認日 2026年10月23日)
何が必要か:届出の対象は代表者印だけ、オンライン申請なら提出も任意

「何が必要か」という検索の語を、そのまま読み替えます。法人の設立で、法務局に提出する印鑑は代表者印です。ここを混ぜないことが、本数を考える出発点になります。
もう一点、制度の変更も確かめておきます。法務省の案内によると、令和3年2月15日以降、登記をオンラインで申請するときに限り、印鑑の提出は任意です。紙で申請する場合や、代理人が書面の委任状を持参または送付する場合は、これまでどおり紙での届出が要ります。
- 書面で設立登記を申請する:代表者印を作って届け出る
- オンラインで申請し、委任状も電子で済ませる:提出は任意(出さない選択も可能)
- あとから法人の印鑑証明書を求められそう:代表者印を届けておく準備が要る
「会社設立に印鑑は不要」と言い切る記事を見かけたら、提出が任意になる条件を読み飛ばしていないかを確かめてください。法人の印鑑証明書は、印鑑を登記所に出した人が請求する書類です(商業登記法12条1項)。契約の相手方や金融機関が証明書を求める場面に備えるなら、任意でも代表者印を作っておく価値があります。必要か不要かの整理だけを知りたい人は、会社設立 印鑑 必要のカテゴリーで条件を分けています。
※2出典:法務省「商業登記規則が改正され,オンライン申請がより便利になりました(令和3年2月15日から)」(法務省・確認日 2026年10月23日)
3本が基本と言われる理由:代表者印・銀行印・角印の持ち分け

会社設立の解説で「3本」と書かれるとき、中身はほとんど代表者印・銀行印・角印の組み合わせです。freeeの起業向け解説も、代表者印・銀行印・角印の3本セットを購入するケースが一般的としています。ただ、3本が基本とされる理由は「法律で3本」だからではありません。印鑑ごとに、使われる場面と、なくしたときの被害が違うからです。
- 代表者印:登記や重要な契約で会社の意思を示す。法務局に提出し、証明書の根拠になる
- 銀行印:口座の届出や変更に使う。紛失したときの影響は、お金まわりに集中する
- 角印:請求書・見積書・領収書など、日常の書類に押す。出番が最も多い
3本に分けると、出番の多い角印を担当者に預けても、会社の意思を示す重い印は代表者の手元に残ります。銀行印は金融機関の窓口へ持ち出すことがあるので、代表者印と持ち歩く場面を重ねないほうが安全です。つまり3本は、リスクを分けると人に預けられるという二つの効果を最小限の数で取れる組み合わせ、と読めます。

各本の役割をもう少し掘り下げたい人は会社設立 印鑑 種類のカテゴリーへ。3本という数字そのものを掘り下げた会社設立の印鑑が3本必要と言われる理由と、3本で足りない場合も続けて読めます。
※3出典:freee「会社設立時に必要な印鑑とは?種類や選び方・購入方法を解説」(freee株式会社・確認日 2026年10月23日)
本数は「使い分け」の数:誰が・どの書類に押すかで増える

サジェストの「何本」の隣には、「使い分け」という語も並びます。これは本数が使い分けの結果として決まる、ということを表しています。押す書類が増えるほど、押す人が増えるほど、印鑑の本数は自然に増えます。
考え方としては、押印の場面を書き出し、それぞれに最も軽い印鑑を当てはめていきます。見本商事株式会社が、設立の時点で次のように整理したとします。
| 書類・手続き | 押す印鑑 | 押す人 |
|---|---|---|
| 設立登記の印鑑届書 | 代表者印 | 代表者 |
| 法人口座の開設申込 | 銀行印(または兼用) | 代表者 |
| 請求書・見積書 | 角印 | 事務担当 |
| 申込書・伝票の社名住所欄 | ゴム印 | 担当者全員 |
表に4行そろえば、4種類の道具が見えてきます。反対に「請求書はすべてPDFで出す」「申込書への記名はない」会社なら、角印とゴム印の行は消えます。数が先にあるのではなく、場面が先にあるわけです。場面ごとにどの印を押すべきかの細かい判断は、会社設立 印鑑 使い分けのカテゴリーにまとめています。
ここで気をつけたいのは、取引先が契約書に押印を求めるとき、どの印鑑を押すべきかは相手との取り決めと社内の権限で決まる、という点です。押印をしなくても契約の効力に影響は生じないという政府のQ&Aもありますが、それは「押さなくてよい」と断定するものではなく、特段の定めがある場合は別です。本数を減らす判断の前に、取引先の求めを確かめておきます。
※4出典:内閣府・法務省・経済産業省「押印についてのQ&A」(令和2年6月19日)(内閣府・確認日 2026年10月23日)
4点セットの4本目と、それ以上に増やすとき

関連する検索では、3点セットと並んで4点セットが出てきます。ここで混乱しやすいのは、4本目が何かは売り方によって違うことです。住所入りのゴム印を4本目とする説明もあれば、会社の認印や社印を加える説明もあります。「4本が標準」という決まりはありません。
4本目を考えるときの問いは一つです。毎日のように書類へ社名と住所を書いているか。書いているなら、ゴム印は出番の多い道具になります。その頻度が低いなら、会社設立の時点で買わなくても、必要になった日に作れば足ります。

5本以上になるのは、拠点ごとに角印を置く、部署ごとに記名用のゴム印を持つ、といった会社です。本数が増えるほど、保管と記録の手間も同じだけ増えます。セットの中身の比べ方は会社設立 印鑑 セットのカテゴリー、とくに3本セットか4本セットかで扱っています。ここでは特定の店のセットを比べません。
※5出典:税理士法人ベンチャーサポート「法人印とは?印鑑の種類や会社での使い分け・それぞれの役割の違いを解説」(ベンチャーサポート税理士法人・確認日 2026年10月23日)
実印を兼ねて本数を減らす:できること、残るリスク

本数を減らす手段が「兼用」です。JETROは、法人口座開設の一般的な必要書類に銀行印を挙げたうえで、印鑑登録した印章を銀行印として流用することも、通常は可能だと説明しています。つまり、代表者印を銀行印にも使うことはできます。
ただし、兼用で減るのは購入本数だけです。代表者印は法務局に提出した印影で、証明書の根拠になります。これを銀行の窓口に持ち出す回数が増えると、会社の意思を示す印が机の上に出る機会も増えます。窓口で押した印影が、いつ、誰によって使われたかを、あとから振り返りにくい運用になりがちです。
- 兼用が向く会社
- 押す人が代表者一人で、口座も1つ、窓口に行く回数が少ない会社。保管の目が行き届く
- 分けたい会社
- 経理担当が窓口に行く、複数の口座を開く、家族や外部に手続きを頼む可能性がある会社
もうひとつ、減らし方の例があります。ネット銀行では、口座の開設に届出印の登録が不要なものもあります。GMOあおぞらネット銀行のヘルプでは、法人の口座開設について届出印の登録は不要と案内しています(2025年2月10日更新の表示)。ただし金融機関と手続きごとに違うので、申込先の最新の案内で必ず確認してください。
代表者印と銀行印を分ける理由の細かな話は会社設立で作る銀行印に、個人の実印との関係は会社設立 印鑑 実印のカテゴリーに置いています。
※6出典:JETRO「Section 1. 登記(参考情報)」法人口座開設(日本貿易振興機構(JETRO)・確認日 2026年10月23日)
一人会社・従業員あり・電子契約中心:会社の形で見る本数

ここまでの整理を、会社の形に当てはめます。本数の目安は、会社の形と印を押す人の数で動きます。
| 会社の形 | 最初に考える本数 | 考え方 |
|---|---|---|
| 代表者一人 | 1〜2本 | 代表者印を軸に、口座の条件で銀行印を足す |
| 経理・事務の担当がいる | 3本 | 持つ人を分けるため、3本に分ける |
| 記名や拠点が多い | 4本以上 | ゴム印・拠点の角印を足す |
| 電子契約が中心 | 0〜1本から | 登記・口座・取引先の求めを先に確認 |
電子契約が中心の会社は、とくに誤解しやすい場面です。画面に出す印影の画像(いわゆる電子印鑑)と、電子署名法にもとづく電子署名、商業登記の電子証明書は別物です。画像を用意したから紙の印鑑が不要になる、とは限りません。違いは使い分けのカテゴリーにある電子印鑑と電子署名の記事で比べています。
一人会社で3本そろえるのは間違いではありません。ただ、3本とも出番があるかで判断すると、使わない印を引き出しに眠らせずに済みます。各場面を深掘りした記事は会社設立の印鑑は何本必要?にまとめました。あわせて、設立費用全体の見積もりは設立費用を扱う姉妹サイトの担当テーマで、本稿では印鑑代に絞って触れます。
※7出典:経済産業省「押印についてのQ&A」(内閣府・法務省・経済産業省)(経済産業省・確認日 2026年10月23日)
セットか単品かの前に、本数が決まったら確かめること

本数が決まったら、次は買い方の選択です。「おすすめ」「格安」といった言葉で探す人も多いのですが、その言葉は比較の条件を隠します。同じ3本セットでも、素材、彫る文字数、手彫りか機械彫りか、書体の指定、付属のケースや朱肉の有無で、中身は別物になります。
- 何本、何の印を作るのかを、前の章までの整理で決める
- 代表者印は、提出するサイズの範囲(1cm超、3cm以内に収まること)に入るかを確かめる
- 素材・書体・彫刻方法・納期を、見積もりごとにそろえて比べる
- 校正(印影の確認)が付くか、納品後の点検の時間があるかを聞く
価格の幅は、素材や本数、サイズによって大きく動くため、本稿では金額を示しません。具体的な幅と、値段を動かす条件は会社設立 印鑑 相場のカテゴリーに置いています。本稿の立場は、店の名前を並べて順位をつけることではなく、見積もりを同じ条件で並べるための確認項目を示すことです。
また、注文前に商号が確定しているか、登記を申請する日からさかのぼって納期に余裕があるかも大切です。作る時期の判断は会社設立 印鑑 いつのカテゴリーで整理しています。単品で足りる会社もあれば、セットの割安さを取る会社もあります。選び方の観点はセットか単品かの記事に詳しく書きました。
※8出典:法務局「印鑑(改印)届書」様式(PDF)(法務局・確認日 2026年10月23日)
まとめ|本数は「必要な1本」から数え始める

会社設立の印鑑は何本か、という問いに全員共通の答えはありません。ただし、数え始める場所ははっきりしています。法務局に出す代表者印の1本。そこから、金融機関や取引先の求めに合わせて足していきます。
- 法律が対象にするのは、登記所に提出する代表者印の1本。大きさの規定もこの1本にかかる
- オンライン申請なら提出は任意。ただし書面申請や、証明書を使う場面は別
- 3本は、リスクを分けて人に預けるための組み合わせ。法定の本数ではない
- 4本目以降は、会社の事情で決める。中身は売り方によって違う
- 兼用すれば減らせるが、紛失したときの影響が1本に集まる
迷ったときは、「いまの会社で、誰がどの書類に押すか」を紙に書き出してください。押す場面が見えたら、それが必要な本数の答えです。数字は、会社の働き方が変わるたびに見直します。社員が増えた、拠点ができた、電子契約が中心になった。そのたびに本数と預け先を更新していけば、法人の印鑑はむだなく、守りやすくなります。
個別の場面は、会社設立の形ごとに整理した本数の決め方の記事と、種類と役割の記事へ。制度や手数料は変わりますので、最新の内容は法務省・法務局の公式ページで確認してください。
※9出典:商業登記法|e-Gov 法令検索(e-Gov(デジタル庁)・確認日 2026年10月23日)
請求書、口座の手続き、契約書。会社設立のあとに最初に押しそうな場面を三つ書き、それぞれに押す印鑑と押す人を添えます。空欄が残る印は、まだ作らなくてよい印かもしれません。逆に、場面があるのに印が決まっていないなら、そこが次に決める一本です。
