会社設立 印鑑 個人の印とどう違う|個人の実印・印鑑証明と法人の印鑑を分けて考える全体図

この記事で扱う印鑑
- 代表者印
- 個人の印鑑
- 印鑑証明書
- 印鑑届書
この記事は、こんな迷いを抱えた人に向けています
- 手持ちの個人の実印を、そのまま会社の印鑑に回せないかと考えている
- 会社設立の手続きで個人の印鑑証明書が要ると聞き、法人の印鑑証明書との違いが分からない
- 個人事業で使ってきた屋号の印を、法人になったあとどうするか決めかねている
三つとも「どの名義の印か」という一点でつながっています。最初にそこを切り分けます。
会社をつくる準備を始めると、印鑑の話に「個人」という言葉が必ず混ざってきます。個人の実印、個人の印鑑証明書、個人事業の屋号印。会社の印鑑を調べているはずなのに、個人の話が出るのはなぜか。理由は単純で、法人は人ではないので、手続きの場面では代表者個人の印と会社の印が並んで登場するからです。この記事は、会社設立 印鑑 個人という検索で知りたいことを、一本の道筋にまとめます。
用語から。印章は押す道具そのもの、印影は紙に残った跡で、ふだんはどちらもまとめて印鑑と呼ばれます。法務局に提出する会社の印は代表者印と呼ばれ、会社実印、届出印と同じものを指して使われるのが一般的です。法務局への届出の対象になる法人の印は、この代表者印だけです。銀行印、角印、ゴム印は会社が任意で用意する印で、届け出る義務はありません。
もう一点、前提があります。2021年2月15日から、登記をオンラインで申請する場合は、印鑑の提出が任意になりました。書面で申請するときは従来どおり提出が必要です。このため「個人の実印があれば足りるのか」という問いの答えは、申請の方法と、あとで法人の印鑑証明書を使う予定があるかで変わります。ここでは一律に言い切らず、条件を分けながら進めます。
会社設立 印鑑 個人とは|個人の印と法人の印、届出書に押す二つの印影

個人の話が会社の印鑑に入り込む代表的な場面が、書面で出す印鑑届書です。法務省の株式会社設立の案内には、書面申請では届出印として会社代表者印を押すほか、会社代表者の個人印も押印して届書を提出する、という趣旨の記載があります(商業登記規則9条1項・5項)。一枚の書類に、会社の印影と、代表者個人の印影が同居するわけです。
この二つは役割が違います。会社の印影は、これから会社が書面に押す印として登記所に登録されるもの。代表者個人の印影は、届出をしている人が本人であることを、市区町村の発行する証明書と突き合わせて確かめるためのもの。名前が似ているので混ざりやすいのですが、前者が会社の側、後者が個人の側の印鑑です。

まず「この印は誰の名義で何のために使うのか」を一本ずつ書き出してください。会社の印鑑にあたるもの、代表者個人の印にあたるもの、どちらにも属さないものに分けるだけで、あとの話はずっと読みやすくなります。
※1出典:法務省「株式会社の設立手続(発起設立)について」(法務省・確認日 2026年10月23日)
会社実印と個人の実印は同じでいいのか|兼用できる範囲と、分けたほうがよい理由

「会社実印 個人 実印 同じ」で調べる人は、新しく彫る手間と費用を省けないか、と考えています。法令の側から見ると、答えは「全面禁止ではない」です。商業登記規則9条3項は、辺の長さが1センチメートルの正方形に収まるもの、または3センチメートルの正方形に収まらないものであってはならない、と大きさを定め、4項は照合に適するものであることを求めています。会社名を彫ること、個人の印と別の品であることを、この条文は条件にしていません。
ただし、通るかどうかと、使い続けてよいかどうかは別の問いです。個人の実印は市区町村に登録した印、会社の代表者印は法務局に届けた印で、証明書の発行元も別々です。同じ一本を兼用すると、個人の契約書にも会社の契約書にも同じ印影が現れ、あとから「どちらの意思で押したのか」を説明する負担が残ります。
兼用の可否を、寸法の測り方から届出書の書き方まで一本ずつ追った記事が会社設立で個人の実印は使えるかです。会社の側の印鑑の大きさの考え方はサイズの分類にまとめています。
結論を急ぐなら、兼用が成り立つ場合があるのは事実としつつ、会社が大きくなるほど印の用途は増えます。新規に会社の印鑑を用意するのは、費用の話であると同時に、あとで困らないための整理の話でもあります。迷う印影は、管轄の法務局か司法書士に実物を見せて照会する手があります。
※2出典:商業登記規則|e-Gov 法令検索(e-Gov(デジタル庁)・確認日 2026年10月23日)
会社設立 個人 印鑑証明|設立の手続きで個人の分が要る場面

「会社設立 個人 印鑑証明」の検索には、二つの意味が混ざっています。一つは、設立の手続きの途中で、発起人や代表者が個人として提出する印鑑証明書。もう一つは、設立後に会社が取る法人の印鑑証明書。この見出しが追うのは、前者です。
一例を挙げます。合同会社の例が分かりやすいので、法務省の設立手続のページを読み直しました。書面で申請する場合、印鑑届書に代表社員の個人印も押し、その印に対応する市町村長作成の証明書を、作成から3か月以内のものとして付ける、という案内です。商業登記規則9条5項1号に連なる扱いで、会社の印鑑を届けるときに、届けた人が誰かを個人側の公的な証明で裏づけるための書類です。
株式会社では、発起人や取締役の分が求められる場面があります。誰の分が何通要るかは、会社の形、設立の進め方、提出先で変わるため、この記事では数を言い切りません。書類の全体の一覧や取り寄せ手順は、この記事の範囲の外に置きます。必要書類を専門に扱う姉妹サイトの『取り寄せ帳』に任せます。
個人の分が要る場面の考え方は個人の印鑑証明を設立時にどう用意するかの記事で、発起人と取締役の別に、手続きの順番に合わせて整理しています。

3か月は、書類を取った日から数える条件です。提出日がまだ先なら、取る日を後ろへずらすのが無難でしょう。早く用意しすぎて期限をまたぐ、という失敗は設立準備の時期にありがちです。
※3出典:法務省「合同会社の設立手続について」(法務省・確認日 2026年10月23日)
個人の印鑑証明と法人の印鑑証明書は別の書類|設立前に会社の証明書は取れない

ここで線を引き直します。役所の窓口に行く前に、呼び名を確認します。住所地の市区町村が出すのは「印鑑登録証明書」で、法務局が出すのは「印鑑証明書」。名前が近くても、出す所も、証明の対象の印も、請求できる人もそれぞれ別です。法務省のQ&Aは、会社の印鑑証明書は会社代表者本人しか請求できず、代理人による請求は可能、と説明しています。
もう一つ大事なのが、順番です。法人の印鑑証明書は、印鑑を法務局に提出して初めて取れる書類です。設立登記が終わる前の、まだ存在していない会社の証明書は用意できません。設立の準備段階で集めるのは、発起人や代表者の個人の証明書、と覚えておくと、「会社の印鑑証明書がないと言われた」という場面で慌てずに済みます。
| 観点 | 個人の印鑑登録証明書 | 法人の印鑑証明書 |
|---|---|---|
| 発行する所 | 市区町村 | 法務局(登記所) |
| 証明する印 | 個人の実印 | 法務局に提出した会社の印鑑 |
| 取れる時期 | 印鑑登録のあと | 印鑑を提出したあと |
| 求める準備 | 印鑑登録の手続きと本人確認 | 印鑑カードの提出(オンライン請求は電子証明書など) |
法人の側の取り方、通数、期限、手数料は証明の分類にまとめてあります。入口は法人の印鑑証明書の取り方です。個人の登録証明書は市区町村ごとに運用が違うため、ここでは触れる程度にとどめます。
※4出典:法務局「会社・法人代表者の印鑑証明書を取得したい方」(法務局・確認日 2026年10月23日)
会社設立 印鑑 作成 個人で用意するときの、彫る内容・納期・寸法の確かめ方

「作成」まで来たら、実務の確認項目は三つに絞れます。何を彫るか、いつ届くか、寸法は収まるか。順に見ます。
何を彫るか。代表者印は、外側に会社名、内側に役職名と、という形が多く使われますが、これは慣例で、法令が決めた形式ではありません。個人名だけ、社名のみ、といった彫り方でも、寸法と照合の条件を満たすなら届出の対象になりうる、と司法書士の解説も説明します。ただし、第三者が見て会社の印だと分かる形のほうが、あとの取引で説明がいりません。
いつ届くか。設立日を先に決めたあとで印鑑を注文すると、納品が設立希望日に間に合わないことがあります。そのときの暫定的な対処は、司法書士事務所の解説や、既存の記事で扱っています。注文は、設立の日付を決めるより前に済ませるのが、いちばん単純な避け方です。
寸法は収まるか。個人の実印の登録条件は市区町村ごとに異なりますが、全日本印章業協会の案内には、一般的な例として「印影の大きさが直径8mm以上、25mm以内の正方形に納まるもの」という書き方があります。この一般的な範囲と、会社の届出で守る「1cmを超え3cm以内」は、数字の幅が一致しません。直径10mm以下の個人の実印は、そのままでは会社の届出に使えない、ということです。

彫る内容や書体、素材の選び方は作成の分類にまとめています。いつ作るのが無理がないかを知りたいときは、いつの分類が入口です。
※5出典:RSM汐留パートナーズ司法書士法人「会社設立日までに会社実印が間に合わないとき」(RSM汐留パートナーズ司法書士法人・確認日 2026年10月23日)
会社設立 印鑑 おすすめを探すときは、店ではなく条件で見る

「おすすめ」は検索でよく出る語ですが、このサイトでは特定の印鑑店や通販サイトの比較、ランキングは行いません。代わりに、どの店で買うとしても、自分で確かめられる条件を挙げます。条件さえそろえば、おすすめは自分で決められます。

全日本印章業協会は、実印を作る前に確認しておくことを案内するページを設けています。個人の実印向けの内容ですが、印影の鮮明さ、彫刻の方法、保管の観点は、会社の印鑑にもそのまま当てはまります。本数を増やすほど管理の手間も増えるので、まず必須の一本から決め、あとの印は用途が生じてから足すのが無理のない順序です。
価格は、素材、サイズ、手彫りか機械彫りか、本数で大きく幅が出ます。特定の店の価格を並べることはしませんが、相場の幅と前提の考え方は相場の分類にあります。何本そろえるか迷うなら何本、セットの中身を見たいならセットの分類へどうぞ。
最後に、縁起や開運をうたう印鑑について。効果を断定する書き方に出会ったら、それは宣伝の言い回しであって、法務局の届出に有利に働くものではありません。読みにくい書体を選ぶ場合は、照合に適するかという規則上の条件に注意が要ります。
※6出典:公益社団法人全日本印章業協会「大切な実印を作る前にお読みください」(全日本印章業協会・確認日 2026年10月23日)
個人事業の屋号印は、法人の印鑑とどう使い分けるか

個人事業を営んできた人が会社をつくるとき、手元に屋号を彫った印が残ります。この屋号印は、法人になったあとも使えるのか。ここで先に押さえたいのは、法人化は「名義が変わる」手続きだということです。個人事業の時代の取引や契約は個人の名義で、法人になれば会社の名義に変わります。印も、その名義に合わせて整理する必要があります。
屋号印を会社の代表者印として届け出られるかは、商業登記規則の寸法と照合の条件に照らして確かめる、というのが基本の考え方です。ただし、条件に合うことと、会社の顔として使い続けてよいことは別です。屋号と社名が違う場合、取引先から見ると、どちらの名義で押した書類か分かりにくくなります。
個人事業の印鑑を、法人のなかで使い分けるのであれば、次のような整理が現実的です。個人事業の時代に押した書面の控え、旧取引先向けの文書には屋号印。法人としての契約、口座、届出には会社の印。同じ書類に二つの名義の印影が並ぶのは避ける。
個人事業を続けるか法人にするかという判断そのものは、法人成りを専門に扱う姉妹サイトの話題で、ここでは踏み込みません。印鑑の面だけを切り出して、屋号の残し方、角印や住所印の見直し、口座の取り違えを具体的に追った記事が屋号印は会社設立後も使えるかです。
もう一つ。屋号付きの個人口座と、法人の口座は別物です。法人口座を開くときの銀行印は、会社の側の印鑑として届けるものなので、個人の口座の印を持ち込む前に、金融機関の案内で確かめてください。
※7出典:法務省「商業・法人登記 Q&A」(法務省・確認日 2026年10月23日)
個人と会社の印鑑を混ぜない保管と、なくしたときの考え方

印を分けたら、保管も分けます。ここは、印影の偽造や複製の話ではなく、そうならないための管理の話です。一つの袋に個人の実印と会社の代表者印を一緒に入れておくと、財布を落としたとき、両方の印を同時に失います。個人の実印の紛失は市区町村に、会社の印の紛失は法務局に、と届出先が異なるため、同時に起きると手続きが一気に重なります。
会社の側で、印鑑と印鑑カードの両方を紛失した場合の流れは、法務局のよくある質問に出ています。新しい印をすぐ用意できるなら、改印の届書、印鑑・印鑑カードの廃止届書、印鑑カードの交付申請書を同時に出す方法があり、改印届書には代表者個人の印を押し、その印の証明書を、作成から3か月以内のものとして添えます。ここにも個人の印鑑が出てきます。
つまり、会社の印のトラブルの解決に、代表者個人の印鑑登録が前提として使われる場面があります。個人の実印を日ごろから確実に管理しておくことは、会社の手続きのためでもあります。

届出印としての代表者印の紛失は、代表者印・実印の分類、印鑑カードの失くし方はカードの分類で、手順を分けて扱っています。
※8出典:法務局「よくあるご質問等<商業・法人登記関係>」(法務局・確認日 2026年10月23日)
まとめ|会社設立 印鑑 個人の迷いは、名義と用途の二軸でほどく

会社設立 印鑑 個人の話は、個人の印と法人の印が並ぶ場面が多いので、混ざりやすい分野です。順に確かめれば、一つずつ答えが出ます。
- 名義:その印は個人のものか、会社のものか。登録先は市区町村か、法務局か。
- 兼用:個人の実印を会社の代表者印にしたいなら、寸法(1cmを超え3cm以内の正方形)、照合への適性、管理の分け方を確かめる。
- 証明書:設立の手続きで動くのは個人の印鑑証明書。法人の印鑑証明書は、印鑑を届け出たあとに取れる。
- 作成:彫る内容、納期、寸法を先に決める。店の比較ではなく、条件で見る。
- 屋号印:法人化で名義が変わる。個人事業の印は、会社の印とは別に整理する。
本文の数字や取扱いは、2026年10月23日の確認にもとづきます。2021年2月15日以降、登記をオンラインで申請する場合は印鑑の提出が任意ですが、書面で申請する場合は必要です。制度は変わるため、実際に動く直前に、法務省・法務局の最新のページを開いてください。自社の事情で迷う点は、管轄の法務局か司法書士に事実を伝えて相談する形になります。
ここから先は、気になった分類へ。入口の整理は必要か・不要か、印の種類は種類、届出の書き方は登録の分類です。個人の実印と会社実印の関係、設立時の個人の印鑑証明、屋号印の三つは、それぞれ子記事を用意しました。
※9出典:法務省「商業登記規則が改正され,オンライン申請がより便利になりました(令和3年2月15日から)」(法務省・確認日 2026年10月23日)
印を一本ずつ手に取って、名義を声に出してみてください
机の上に印を並べて、「これは私個人の印」「これは会社の印」「これは屋号の印」と、一本ずつ口に出して仕分けてみてください。どちらに入れていいか詰まった印が、これから調べることの中心です。個人の分と会社の分が頭の中で分かれていれば、窓口でも、書類を整える日でも、迷う場面は大きく減ります。
