会社設立 印鑑 いつ|作る時期・届け出る時期・急ぐときの考え方

この記事で扱う印鑑
- 代表者印
- 印鑑届書
- 銀行印
- 印鑑カード
こういう「いつ」に引っかかっている人向けです
- 会社設立の印鑑を、いつ注文すればよいのか決められずにいる人
- 「いつまで」に法務局へ届け出ないといけないのか、期限があるのかを知りたい人
- 設立の予定日が近いのに、印鑑がまだ手元になく、間に合うか不安な人
この記事は、印鑑を用意する時期に絞っています。商号を決めてから登記を申請するまでの通し順は、姉妹サイト「流れ」の守備範囲なので、ここでは踏み込みません。
まず呼び名を整理しておきます。会社の代表者が法務局(登記所)に届け出る印のことを、代表者印と呼びます。会社実印、届出印と言われるものも同じ印です。また「印章」は印材に彫ったはんこの現物、「印影」は紙に押して残った跡、「印鑑」は本来は届け出た印影の控えのことですが、日常では印章まで含めて使われています。この記事も、場面に合わせて言い換えます。
法律上、法人が法務局に届け出る対象になる印は、代表者印だけです。銀行印、角印、ゴム印を持つかどうかは、会社の判断になります。「会社設立 印鑑 いつ」という検索の裏には、実は問いが三つ重なっています。いつ作るのか。いつまでに届けるのか。いつ使い始めるのか。同じ「いつ」でも、答えを決めるのは別々のルールです。
2026年10月時点で、法務省・法務局の案内と条文を、原文で読み直しました。読めたことは本文にそのまま写し、読めなかったことは「分からない」と記します。民間の解説記事や司法書士事務所の案内は、制度の説明ではなく運用の一例として扱います。
会社設立 印鑑 いつ|「作る時期」「届ける時期」「使う時期」は別々の問い

最初に、三つの「いつ」を並べます。ひとつ目は、印章を注文して手元に受け取る時期。ふたつ目は、代表者印を法務局に届け出る時期。三つ目は、印鑑カードや印鑑証明書、銀行印を実際に使い始める時期です。三つは順番に並んでいますが、決める根拠は違います。

「作る時期」を決めるのは、印面に彫る文字が決まったかどうかです。商号が変わるかもしれない段階で注文すると、彫り直しになります。「届ける時期」を決めるのは、登記を紙で出すのか電子で出すのかという、出し方の選択です。「使う時期」を左右するのは、会社の外側にいる相手、たとえば金融機関や取引先が何を求めるかです。
この三つを混ぜたまま調べると、「設立の前に作れ」「設立のあとでよい」と正反対の説明に出会います。どちらも、どの「いつ」のことを言っているかを見れば矛盾しません。作る時期の詳しい考え方は会社設立の印鑑はいつ作る?商号の確定から登記の申請までの作り時に、ケース別の整理は作るタイミングをケース別に見た記事に記してあります。
※1出典:法務省「商業登記規則が改正され,オンライン申請がより便利になりました(令和3年2月15日から)」(法務省・確認日 2026年10月23日)
会社設立 印鑑 いつまで|届出に「この日まで」と決まった日があるのは書面申請のとき

「いつまでに届け出なければならないか」は、出し方しだいで答えが二つに割れます。書面で出す申請書に押す印は、登記所にすでに提出してある印と決まっています。商業登記規則35条の2は、申請書に押す印を、登記所へ提出済みの印と定めています。申請書を窓口に出す時点で、届出が済んでいるか、同時に出すかのどちらかが前提です。
同じ法務局の質問集には、補足の注記が付いています。提出のタイミングは登記申請と同時で構わない、というものです。届出だけを数日前に片づけておく決まりは、読み取れません。申請書と印鑑届書を同じ日に持ち込む段取りで足ります。
※印鑑の提出は、登記申請と同時に行っても差し支えありません。
では、オンライン申請ならどうでしょう。法務省の説明では、2021年2月15日から印鑑の提出は任意です。任意である以上、設立登記の申請日までに必ず届ける、という意味の期限は外れました。
正直に書いておきます。今回読んだ法務省・法務局の案内には、「登記のあと何日以内に届ける」といった日数の期限が見当たりませんでした。期限は存在しないと言い切る材料はないので、確認できていない、という書き方にとどめます。実際に届けようとしている人は、本店を管轄する法務局に、予定している方法で問題ないかを聞いてください。
| 申請の方法 | 印鑑の届出の考え方 | 確認した根拠 |
|---|---|---|
| 書面で申請 | 申請書に押す印は提出済みの印。提出は申請と同時でもよい | 規則35条の2、法務局の質問集 |
| オンラインで申請 | 提出は任意(2021年2月15日から) | 法務省の案内 |
| オンライン申請に紙の委任状 | 従来どおり書面で印鑑の提出が必要 | 法務省の案内 |
届出書の書き方そのものは、印鑑届出書の書き方の記事に回します。あとからの届出はオンライン申請で届け出なかった会社へで扱っています。
※2出典:法務局「よくあるご質問等<商業・法人登記関係>」(法務局・確認日 2026年10月23日)
会社設立 印鑑 不要と見かけたとき|「いつまで」の問いが消える条件

検索窓に「いつ」「いつまで」と打つと、すぐ隣に「不要」が並びます。期限を知りたい人の多くは、そもそも要らないのではと疑っている、ということでしょう。答えは「条件つきで任意」です。
法務省のページには、2021年2月15日以降、オンラインでの登記申請なら印鑑の提出は任意、とあります。そのうえで、代表者の印鑑証明書が欲しいといった理由で提出する人については、オンライン申請と同時に出す場合だけ、オンラインでの提出が認められる、という整理です。
書面申請(QRコード(二次元バーコード)付き書面申請を含む。)の場合や代理人による申請で委任状を書面により持参又は送付する場合は、従来どおり書面(紙)による印鑑の提出が必要です。
この一文こそ、「不要」と言い切れない理由です。紙の申請書、あるいは紙の委任状を持参・郵送するときは、従前どおり提出が要ります。「会社設立に印鑑は不要」も、「一式そろえないと設立できない」も、片方だけを取れば言い過ぎです。
- オンライン申請で、委任状も電子の場合:届出は任意
- 紙で出す申請:申請書に押す印を提出しておく
- 紙の委任状を使う代理申請:書面での提出が必要
- 届け出ない選択をしても、法人の印鑑証明書は届けた印にしか出ない
最後の一点は、「いつ」の問題でもあります。届け出ずに設立した場合、証明書が必要になった日に慌てて届出に走る羽目になります。印鑑の提出だけをオンラインで単独に出すことはできず、書面での提出になります。証明書を使いそうな気配が少しでもあれば、設立と同時に届けておくと後が楽です。必要か不要かの詳しい整理は必要のカテゴリーへ、「不要」と言われる範囲は不要と言われる理由の記事で扱います。
※3出典:法務省「オンラインによる印鑑の提出又は廃止の届出について(商業・法人登記)」(法務省・確認日 2026年10月23日)
いつ作るか|商号が決まってから、登記の申請より前に手元へ

ここからが、いちばん多い「いつ作るか」の問いです。結論を先に書くと、印面に彫る文字が確定してから注文し、紙の申請書なら窓口に出す日までに手元へ受け取る、という順になります。オンラインで届出を後にするなら、期限に追われる要素は小さくなります。
文字の確定が先になる理由は単純です。代表者印には商号を彫ります。商号の調査で変更が出れば、印面が変わります。司法書士事務所のなかには、商号などの調査結果の連絡を受けてから注文するよう案内しているところがあります。依頼先がある場合は、彫ってよい表記がいつ確定するかを共有しておくと、行き違いが減ります。
もう一つの条件は、大きさです。商業登記規則9条3項は、提出する印鑑の大きさを、1センチ角に収まるもの、または3センチ角に収まらないものは不可としています。注文を急いで寸法を確かめずに決めると、届出ができない印になるおそれがあります。具体的な寸法の考え方はサイズ規定を条文と届書で読む記事に任せます。

注文のあとは、校正の確認と、受け取ってからの点検があります。点検の内容は注文したら校正から受け取りの点検までで扱っています。言いたいのは、余裕を見込む対象が製作日数だけではなく、校正の往復と点検にも及ぶ、という点です。
なお、商号の確定、定款の作成、出資の払込、登記の申請といった設立全体の順番は、姉妹サイト「流れ」の担当です。当サイトは、そのうち印鑑を用意する場面だけを書きます。
※4出典:e-Gov法令検索「商業登記規則」(昭和三十九年法務省令第二十三号)(デジタル庁(e-Gov)・確認日 2026年10月23日)
ケース別に見る「いつ」|書面・オンライン・合同会社・司法書士に頼むとき

同じ会社設立でも、だれがどう出すかで、印鑑の要る日が変わります。四つのケースに分けて整理します。詳しい場面ごとの話はケース別の記事に譲り、ここでは要点だけを並べます。

紙で出すケースは、前の章のとおり、申請書を出すときに提出済みの印が必要です。ここに届出書の準備、添付する書類が重なります。届出書には、代表者の個人の印鑑証明書を添える場面があります。様式の注記は、作成から3か月以内の本人の印鑑証明書を付けるよう求めています。印鑑の注文日だけでなく、市区町村での証明書の取得日も同じ予定表に入れておきます。個人の印鑑証明書の取り方は、必要書類を扱う姉妹サイトのテーマです。
オンラインで申請するケースは、届出を任意と考えられます。ただし、紙の委任状を持参や郵送で出す場合は書面の提出が従来どおり必要ですから、申請の方法を決めてから印鑑の時期を考えます。合同会社は代表社員の印を届け出る形で、株式会社とは添付書類の細部が違います。代表社員が法人の場合の職務執行者の扱いは別の記事に書いています。
司法書士や行政書士など、手続きを専門家へ頼むなら、印鑑を作る日も依頼先に聞いておきます。専門家が商号の調査を行い、その結果を待ってから注文する運用を採るところもあります。どの依頼先でも同じ、とは限りません。依頼書に「印鑑はいつまでに必要か」を書いてもらう、という頼み方が、行き違いを防ぎます。
※5出典:法務省「商業・法人登記 Q&A」(法務省・確認日 2026年10月23日)
急ぎの注文・即日・最短で用意したいとき|間に合わないときの選び方

会社設立の予定日が迫っているのに印鑑がない。検索に「即日」「最短」が並ぶのは、このあたりの焦りからでしょう。急ぐ場合の考え方は、二段に分けると整理できます。ひとつ目は、いまの注文で何日で手元に届くかを、注文先に直接確かめる段階。ふたつ目は、間に合わない場合に、申請の方法や予定を見直す段階です。
一段目で注意したいのは、言葉の中身です。「即日発送」と「即日に手元にある」は別物です。「彫刻の時間」と「注文が確定するまでの時間」も別物です。急ぐ注文でも、前の章で触れた寸法の規定と、照合に適する印であることは変わりません。商業登記規則9条4項は、提出する印鑑は照合に適するものでなければならない、と定めています。時間を縮めるために、読みにくい書体や極端に小さい印にしてしまうと、登録後に困ります。
二段目、間に合わないときの選び方は三つあります。オンラインで申請し、印鑑の提出は任意の扱いにして、設立後に届け出る方法。受け取りの予定に合わせて申請日を動かす方法。そして、いったん別の印を提出して、あとから改印の届出で代表者印を差し替える方法です。三つ目については、司法書士事務所の案内などに載っていますが、改印には改印届書と、市町村長が作成した個人の印鑑証明書(作成後3か月以内)を添える手間がまた発生します。設立日優先にして、あとで二度手間になる選び方でもあります。
- オンライン申請に切り替え、印鑑の提出は設立後に回す
- 受け取りの日に合わせて、申請書を出す日を動かす
- 別の印をいったん届け出て、あとで改印する(二度手間になる)
どれを選ぶかは、設立予定日にどれだけ強い理由があるかで決まります。理由がなければ、申請日を数日ずらすのが一番単純です。具体的な段取りは急ぎで注文するときの段取り、受け取りの条件の見極めは即日・最短で用意するにはに整理してあります。
※6出典:e-Gov法令検索「商業登記規則」(昭和三十九年法務省令第二十三号)(デジタル庁(e-Gov)・確認日 2026年10月23日)
届出のあとの「いつ」|印鑑カード・印鑑証明書・銀行印を使い始める日

代表者印を届け出ると、そのあとに続く「いつ」が出てきます。印鑑カードを請求する時期、法人の印鑑証明書を取る時期、銀行印を使う時期です。ここまで見通しておくと、最初の注文日を決める材料が増えます。
印鑑カードは、商業登記規則9条の4第1項により、印鑑を提出した者が、必要な事項を書いた書面を出して交付を請求します。印鑑証明書の交付の申請には、印鑑カードの提出が必要です。法務局の案内でも、印鑑証明書の送付を請求するときにも印鑑カードの提出も必要、と案内されています。流れにすると、届出、カードの請求、証明書の請求の順です。カードの請求手順は印鑑カード交付の記事に、証明書の枚数や出し方はいつ何通取るかの記事に詳しく書きました。
銀行印は、法人口座を開設する日が「使い始め」です。口座開設の必要書類は、金融機関によって違います。JETROは一般的な必要書類として、法人の登記事項証明書、法人の印鑑登録証明書、本人確認書類、銀行印などを挙げつつ、必要書類は金融機関によって異なる、と注記しています。印鑑証明書の期限も一律ではありません。ある信用金庫は発効後3か月以内、別の信用金庫は発行日から6か月以内、と書いています。
| 金融機関の例 | 法人の印鑑証明書の期限の書き方 | 確認した資料 |
|---|---|---|
| 遠賀信用金庫 | 発効後3か月以内のもの | 法人口座の案内(PDF) |
| 京都中央信用金庫 | 発行日から6か月以内のものに限る | 法人口座の案内(PDF) |
| GMOあおぞらネット銀行 | 印鑑証明書の欄に「法人登記完了後 即日〜1週間」と記載 | 必要書類チェックリスト(PDF) |
「証明書は設立後いつまで使えるか」という問いに、全国共通の答えは出せません。口座を作る銀行、契約する相手、補助金や融資を申し込む窓口が、それぞれ指定する期限が答えです。証明書は、使う日が見えてから請求するほうが、取り直しの無駄を避けられます。手数料は請求方法で異なり、法務省のページに載る2025年4月1日以降の額は、書面500円、オンライン請求の送付450円、オンライン請求の窓口交付420円です。請求の直前に、最新のページで金額を見直してください。
銀行印の作り方や分ける理由は銀行印の記事へ。ここで言えるのは、口座開設の予定日が決まっているなら、そこから数えて戻り、銀行印を受け取って点検する日を置く。それだけです。
※7出典:遠賀信用金庫「法人名義の口座を開設されるお客さまへ」(PDF)(遠賀信用金庫・確認日 2026年10月23日)
まとめ|三つの「いつ」を書き出して、注文日を決める

会社設立の印鑑の「いつ」は、作る時期、届ける時期、使い始める時期に切り分けると見通せます。三つを束ねる共通の期日はありません。
- 作る時期は、印面の文字が確定してから。商号の調査待ちなら待つ
- 届ける時期は、書面申請なら申請書を出すとき(同時でもよい)。オンラインなら任意
- 「届出から何日以内」といった期限は、今回の確認範囲では見つからなかった
- 急ぐときは、申請の方法や日程を見直すことも含めて選ぶ
- カード・証明書・銀行印の時期は、使う相手の指定で決まる
会社設立の準備が進むほど、印鑑は後回しにされがちです。まず、紙一枚に三つの「いつ」を書き出してください。申請の方法、設立予定日、銀行口座を開く予定日。この三つが決まれば、印鑑の注文日はおのずと見えてきます。届出の対象は代表者印だけで、銀行印や角印は会社の判断です。ここを混ぜない限り、迷いは減ります。
取り扱いは改まることがあり、この記事の執筆時点は2026年10月23日です。手数料や様式の最新は、法務省・法務局のページで見てください。事情が込み入っているなら、本店を管轄する法務局か、登記を頼む司法書士に、予定している方法を伝えて相談すれば確実です。同じカテゴリーの作り時の記事と急ぎの段取りの記事もあわせてどうぞ。
※8出典:法務局「商業・法人登記の申請書様式」(法務局・確認日 2026年10月23日)
今日、紙一枚に三つの日付を書き込んでみてください
申請書を出す予定日、印章を手元に受け取りたい日、銀行口座を開きたい日。三つの日付を並べると、いまが早すぎるのか、もう急ぐ段階なのかが分かります。まだ空欄が残るなら、先に決めるのは申請の方法です。その下の記事一覧から、あなたの場面に近いものを選んで読み進めてください。
