会社設立 印鑑 サイズの全体像|法人の代表者印・銀行印・角印の大きさを規定と目安に分けて整理

この記事で扱う印鑑
- 代表者印
- 銀行印
- 角印
- ゴム印
この記事を読んでほしい人
- 会社設立の準備で「印鑑のサイズは何ミリがいいのか」と検索し、解説ごとに数字が違って戸惑った人
- 手元に9mmや10mmの印鑑があり、法人の届出印に回せるのか知りたい人
- 代表者印・銀行印・角印をそれぞれ何ミリで注文するか、決める前に全体の地図がほしい人
大きさの条文を一語ずつ読む話、商号の文字数から寸法を決める話は、このカテゴリーの個別記事に分けてあります。ここは入口です。
会社設立で印鑑の注文画面を開くと、15mm、16.5mm、18mm、21mm、24mmと、数字がずらりと並びます。法人用のセットなら選ぶだけで済みそうですが、「なぜその寸法なのか」を説明している画面は多くありません。ここでは、数字の出どころを二つに分けて見ていきます。一つは法律(規則)が定めている寸法、もう一つは慣習や使い勝手から生まれた目安です。
用語を先にそろえます。印を彫った本体が印章、紙に押した跡が印影で、日常では本体も含めて印鑑と呼びます。法務局に届け出た代表者印が、会社実印・届出印です。法律上の届出の対象になるのはこの一本だけで、銀行印・角印・ゴム印は作るかどうかも含めて任意です。大きさの決まりも、この区別に沿って現れ方が変わります。
オンラインで会社設立の登記を申請する場合、印鑑の提出は2021年2月15日から任意になりました。ただし書面で申請する場合などは従来どおり提出が必要で、「設立に印鑑は要らない」と言い切れるわけではありません。提出するかしないかの判断は別の記事に譲り、ここでは「提出するとしたら、何ミリまでが許されるのか」と「提出しない印は何ミリで作ってよいのか」に焦点を当てます。
1会社設立の印鑑サイズ:決まりがあるのは法務局に出す一本だけ

「会社の印鑑には大きさの決まりがある」という言い方は、半分だけ正しい話です。法人の印鑑のうち、サイズが条文に書かれているのは、法務局(登記所)へ提出する代表者印に限られます。銀行に届ける銀行印、請求書に押す角印、住所を転記するゴム印には、法令上の寸法規定がありません。
- 法務局に届け出る代表者印(会社実印)
- 商業登記規則9条3項で大きさの範囲が決まっている
- 銀行に届け出る銀行印
- 法令の寸法規定なし。取引する金融機関の受付条件を確かめる
- 書類に押す角印・ゴム印
- 法令の寸法規定なし。押印欄や文字数に合わせて選ぶ
この仕分けをしないと、解説記事の数字を読み違えます。たとえば「実印は18mmが多い」という文は、代表者印の目安の話です。「角印は21mmか24mm」は、社内外の書類に押す印の慣習で、どちらも条文の数字ではありません。数字を見かけたら、どの印鑑の、何に由来する寸法なのかを一度確かめる。それだけで、会社設立の準備の迷いはずいぶん減ります。
条文を言葉の単位で読む作業は、会社設立の印鑑のサイズ規定の記事にまとめました。この記事では、そこへ入る前の全体像として、次の見出しから規定の範囲、照合の条件、市販の目安、銀行印と角印の考え方、シャチハタの扱いの順に進みます。
法人の代表者の個人の印鑑登録(市区町村)は、この仕分けとは別の制度です。個人の実印をどう取り寄せるかは、姉妹テーマ「会社設立 必要書類」で扱っています。
※1出典:商業登記規則|e-Gov 法令検索(e-Gov(デジタル庁)・確認日 2026年10月23日)
2法人の印鑑サイズは「1cmを超え3cm以内」:9mm・10mm・18mmを当てはめる

代表者印の大きさについて、商業登記規則9条3項はこう定めています(e-Gov法令検索で確認、2026年10月23日)。
印鑑の大きさは、辺の長さが一センチメートルの正方形に収まるもの又は辺の長さが三センチメートルの正方形に収まらないものであつてはならない。
禁止の形で書かれているので、読み替えが要ります。小さすぎて1cm四方に収まってしまうものは不可、大きすぎて3cm四方に収まらないものも不可。残るのは「1cm四方には収まらず、3cm四方には収まる」大きさです。丸印なら、直径が10mmちょうどはだめで、30mmちょうどは大丈夫、ということになります。

検索でよく見かける「印鑑 サイズ 9mm」は、個人の認印として一般的な寸法です。その9mmの印鑑を会社の届出印にできるかと問われれば、寸法だけを見ても1cm四方に収まるので届出はできません。ここで「1cm以上」と書く解説をそのまま信じると、10mmの扱いを誤ります。法務局の届書の注記は「1㎝を超え、3㎝以内」と書いており、10mmちょうどは含まれません。
形は丸でなくても構いません。条文は輪郭を指定せず、印影全体が二つの正方形とどういう関係にあるかだけを見ています。四角でも楕円でも、基準は同じです。ただ、実際の会社設立では18mm前後の丸印がほとんどなので、境界の議論になるのは、手持ちの印鑑を流用するときぐらいです。
この範囲は広く、1cmから3cmの間のどこを選ぶかは自由です。条文をもう少し丁寧に追いたい場合は、サイズ規定の記事で、条文と届書の書き方の違いまで比べています。
※2出典:商業登記規則|e-Gov 法令検索(e-Gov(デジタル庁)・確認日 2026年10月23日)
3寸法を満たしても届出可とは限らない:9条4項「照合に適するもの」

寸法の条件を満たしたからといって、その印鑑がそのまま届出に使えると言い切ることはできません。9条3項の次の項に、もう一つ条件があるからです。
印鑑は、照合に適するものでなければならない。
届出のあと、会社が登記を申請するたびに、書類に押された印影は登記所に届けてある印影と照らし合わされます。つまり「あとで同じ印影を再現できること」が前提です。線が極端に細い書体、押すたびに輪郭が変わる素材、欠けた印面は、この前提を揺るがします。大きさは測れば分かりますが、照合に適するかどうかは、実際に押した印影を見ないと判断できません。
オンラインで印鑑を届け出る場合の法務省の案内にも、同じ発想が見えます。1cmごとの目盛りのある専用の様式を拡大・縮小せずに印刷し、物体による印章で印影が鮮明になるよう押し、原寸のまま照合に適する程度の解像度(目安は600dpi程度)でスキャンする。画像データの電子印鑑ではなく、実物の印鑑を押すことが前提になっている点にも注意が必要です。

届出前に判断がつかない形や寸法は、原寸の見本を持って管轄の登記所に相談するのが近道です。判断するのは登記官であり、記事や販売ページの文言ではありません。
※3出典:商業登記規則|e-Gov 法令検索(e-Gov(デジタル庁)・確認日 2026年10月23日)
4会社の印鑑サイズ、一般的な目安は?代表者印・銀行印・角印の並べ方

規定の範囲が広いので、実際の注文では「何ミリが多いのか」という目安が頼りにされます。弥生の会社設立の解説は、代表印は18mmの丸印、銀行印は16.5mmの丸印、角印は一辺21mmまたは24mm、ゴム印は20mm×60mmが一般的だと紹介しています(2026年10月23日確認)。検索で出てくる法人向けセットの商品構成も、この並びに近いものが目立ちます。

並べてみると、代表者印を一番大きい丸にして、銀行印をひと回り小さくし、角印は四角で別の見た目にする、という組み立て方が見えます。印影の形と大きさが違えば、押した跡を見たときに「どの印か」が分かり、取り違えを減らせるからです。目的は見分けやすさであって、目安の寸法が正解というわけではありません。
社名が長い場合は事情が変わります。外枠に商号を入れ、内枠に役職名を入れる二重の印面では、文字数が増えるほど文字は小さくなります。18mmで収まらなければ、規定の範囲内で21mmに上げる選択もあります。逆に、押印欄が狭い書類が多いのに大きな印鑑を選ぶと、欄からはみ出して使いづらくなります。商号の文字数と押す書類から寸法を決める流れは、会社の印鑑の大きさの決め方に具体的に書きました。
書体との相性もあります。細い線の書体を小さな寸法に詰め込むと、押したときにつぶれやすくなります。書体の見比べは会社設立 印鑑 書体のカテゴリーで、素材と値段の関係は会社設立 印鑑 相場で扱っています。
※4出典:弥生株式会社「会社設立時に必要な印鑑は?代表印(実印)などの種類や用途を解説」(弥生株式会社・確認日 2026年10月23日)
5会社の銀行印のサイズ:法令の決まりはなく、金融機関の受付で確かめる

「会社 銀行印 サイズ」で調べると、16.5mmから18mmといった推奨を載せたページが並びます。ただ、これは販売する側や解説する側の目安で、銀行印の寸法を定めた法令は見当たりません。銀行印は、法人が口座を開くときに金融機関へ届け出る印鑑で、届出先は法務局ではないからです。
実際の受付では、銀行ごとに届出印の手続や書式があります。極端に小さい、あるいは大きい印鑑が窓口で嫌がられたという話も耳にしますが、具体的な基準は金融機関によって違い、公開されていないことも少なくありません。口座を開く銀行が決まっている場合は、印鑑を注文する前に、必要書類のページを読むか窓口に確認してください。ネット銀行では、届出印を求めない口座開設もあります。
- 代表者印を銀行印として兼用することもできるが、紛失したときの影響が大きいため、分けて作る会社が多い
- 代表者印より少し小さい寸法にしておくと、押した跡や印鑑ケースの中で見分けやすい
- 印面には「銀行之印」「銀行印」などを入れることが多いが、これも決まりではない
- 口座を開く銀行が複数あるなら、全部の銀行で使えるかを先に確かめる
銀行印を長く使う場合の決め方、つまり代表者が交代したり口座が増えたりしたときの届出印の考え方は、銀行印を長く使う決め方の記事に詳しくあります。銀行印と角印の大きさだけを掘り下げた銀行印・角印は何mmにするかの記事もあります。
個人の印鑑の大きさは市区町村の登録規定に左右され、法人の話とは別です。会社設立で必要な個人の印鑑証明書の取り方は、姉妹テーマ「会社設立 必要書類」を見てください。
※5出典:三菱UFJ銀行「届け出内容の変更(法人のお客さま)」(三菱UFJ銀行・確認日 2026年10月23日)
6角印・ゴム印の大きさ:押す書類と文字数から決める

角印やゴム印は、法務局にも銀行にも届け出ないのが基本です。請求書、見積書、領収書、契約書の会社名の横などに押す、会社の「顔」としての印です。届出先がないので寸法の規定もなく、選ぶ基準は自社の書類になります。
角印の寸法は21mmか24mmが定番といわれます。21mmは書類の隅に収まりやすく、24mmは社名の文字が見やすいという違いです。社名が「株式会社」を含めて10文字を超えるなら、24mmのほうが文字を無理なく配置できます。ただし、請求書のテンプレートに押印欄の枠が印刷されている場合は、枠より大きな印を選ばないようにします。インボイス制度で請求書の様式を整えた会社ほど、枠の寸法を測ってから注文すると失敗しません。
ゴム印は、住所や社名を横一列に並べた形が多く、20mm×60mmのようにサイズを一辺ごとに指定します。入れる項目(社名・住所・電話番号など)を決めてから、縦横の寸法を計算します。移転や代表者交代で内容が変わりやすいので、長く使う前提で作らないほうが無駄が出ません。

角印の彫る文字や作るタイミングは角印を作るときの決めごとに、ゴム印の縦横や作り直しはゴム印・住所印の決め方にまとめてあります。角印は代表者印の代わりになるわけではなく、契約書の押印の扱いは別に考える必要があります。
※6出典:シヤチハタ公式メディア「住所印(住所スタンプ)とは?活用のメリットと作成のポイント」(シヤチハタ株式会社・確認日 2026年10月23日)
7シャチハタは会社の届出に使えるか:サイズより先に見る印面の素材

「印鑑 サイズ シャチハタ」という検索がされるのは、サイズ表の中にシャチハタ(インク浸透印)の寸法が混ざっているからでしょう。直径を見るとちょうど12mmや13mmで、「1cmを超える」という条件は一見満たします。それでも、届出の話では寸法より前に素材が問題になります。
シャチハタは、印面がゴム製で、内部のインクがにじみ出て押す仕組みです。freeeの解説も、押す力加減や使用頻度、経年劣化で印影がかすれたり変形したりする可能性があること、硬い素材の印鑑は押したときの形が変わりにくいことを説明しています(2026年10月23日確認)。9条4項の「照合に適するもの」と重ねて考えると、法人の代表者印として長く再現したい印影には向かない、というのが多くの解説の立場です。
銀行でも、届出印にスタンプ式を認めない金融機関が多いと説明するページはありますが、各行の公式な条件までは確認できていません。口座を開く銀行の案内を読んでください。社内の回覧や受領確認の認め印にシャチハタを使うのは、会社の運用として問題になりにくい場面です。使い分けの観点は会社設立 印鑑 使い分けのカテゴリーにあります。
このテーマだけを掘り下げたシャチハタは届出に使えるかの記事もあります。
※7出典:freee「シャチハタとは?印鑑との違いや、使えない場面などをわかりやすく解説」(freee・確認日 2026年10月23日)
8注文前と届いた日に、大きさを自分で確かめる手順

寸法の決まりや目安を知っていても、実際に手元に届いた印鑑が想定どおりとは限りません。販売ページの表示は設計上の寸法で、押した印影が拡大・縮小して見えることもあります。ここでは、会社設立の準備の中で寸法を確かめるタイミングを、時系列で並べておきます。

測るときは、プラスチックの定規ではなく、ミリ単位の目盛りが読める金属の定規を使うと確実です。印影を紙に押したあと、印影の縁から縁までを測ります。印鑑の本体の太さと、印影の直径は同じではありません。ここで10mmに近い数字が出たら、境界の議論に入ります。
届出の前に、押す朱肉の量を一定にして、同じ紙で3回ほど試し押しをしてみてください。輪郭が毎回ずれる、線が太ったり細ったりする、といった様子が出たら、押し方を変えるか、印鑑の選び直しを考えます。印鑑を作り直すとなれば、会社設立の予定日から逆算した余裕が必要になります。作るタイミングは会社設立 印鑑 いつのカテゴリーに置きました。
届書そのものの書き方と添付書類は、印鑑届出書の書き方が詳しいです。個人の実印を代表者印として使う場合は、個人の実印は使えるかも合わせて読んでください。
※8出典:法務省「オンラインによる印鑑の提出又は廃止の届出について(商業・法人登記)」(法務省・確認日 2026年10月23日)
9まとめ|会社設立の印鑑サイズは、提出先ごとに分けて考える

会社設立の印鑑サイズは、一つの正解を探すより、「どこに出す印か」で分けると整理がつきます。法務局に届ける代表者印には、商業登記規則9条3項の寸法と、9条4項の照合に適するという条件があります。銀行印は金融機関、角印とゴム印は自社の書類が基準です。
- 代表者印は、1cmの正方形に収まらず、3cmの正方形に収まる大きさ。丸なら直径10mm超〜30mm以内
- 9mmの認印は届出に回せず、10mmちょうども範囲の外。「1cm以上」という書き方は下限があいまい
- 寸法を満たしても、照合に適するかは別に判断する。線のつぶれ、素材、欠けを試し押しで見る
- 18mm・16.5mm・21mm・24mmは市販の目安であり、条文の数字ではない
- 銀行印は金融機関の受付条件、角印・ゴム印は押印欄と文字数が基準
- シャチハタは、寸法より素材の面で届出には向きにくいと説明される。公式な明記は確認できなかったので、登記所と取引先の案内を読む
個別の疑問は、条文で読むサイズ規定と文字数からの寸法の決め方で深掘りできます。本数や種類を決める段階なら会社設立 印鑑 種類、そもそも提出が必要かという入口は会社設立 印鑑 必要へ進んでください。
ここに書いた数字と制度は2026年10月23日時点の確認で、制度は変わります。注文や届出の前に、法務省・法務局の公式ページで最新の内容を見てください。
※9出典:商業登記規則|e-Gov 法令検索(e-Gov(デジタル庁)・確認日 2026年10月23日)
定規と白い紙を、注文ボタンの前に
寸法の数字を眺めているうちは、どれも正しく見えてきます。手元にある印鑑でも、候補の見本でもかまいません。白い紙に一度押して、定規を当ててみてください。10mmの線に近いか、30mmに届くか、欄に収まるか。その確認が、会社設立の日の慌ただしさを少し軽くしてくれます。
